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バーンズ・サパー(Burns Supper)参加レポート

  
Burns Supper ETCマンツーマン英会話 外国語を学ぶ際にその国の文化やその背景・歴史を知らなくては、言葉自体をどうしても理解できないことがあります。それは巡り巡って最後に自分の国を学ぶことにも繋がっていきます。

 そしてその過程で、自国と外国との違いに驚いたり、文化や背景・歴史が異なっていても、人々の心の奥深い部分には共通する部分があることを発見して、感動することもあります。

 2012年2月25日、チャールズ先生(横浜関内)が所属、活動をされている「横浜・東京セント・アンドルーソサエティー」(St Andrews Society)が主催するバーンズ・サパー(Burns Supper)に参加して来ました。

 ロバート・バーンズはスコットランドを代表する国民的詩人。バーンズ・サパーは、彼の誕生日(1月25日)を祝い、彼の人生、作品、功績、そしてスコットランドの文化を称える夕食会です。
 
 
■食前の祈り 『セルカーク・グレース(The Selkirk Grace)』

 バーンズ・サパーは、バーンズの作詞と言われている食前の祈り『セルカーク・グレース(The Selkirk Grace)』から始まります。
 

IMG_0435.JPGセルカーク・グレース(The Selkirk Grace)

スコッツ語:
Some hae meat and canna eat,
And some wad eat that want it,
But we hae meat and we can eat,
Sae let the Lord be thankit.

英語訳:
(Some have food and cannot eat,
And some would eat that lack it,
But we have food and we can eat,
So let God be thanked.)

日本語訳:
「食物があるのに食べることが出来ない人たちがいる。
食べることが出来るのに食物がない人たちもいる。
しかし私たちには食物があり、食べることも出来る。
さあ、神に感謝の祈りを捧げよう」
 
 
 たとえお金があっても、食べ物が手に入らないこともあります。食べ物がいくらあっても、健康でなければ食べることができません。だから、この今に感謝をする。論語の「足るを知る」にも通ずる歌にも感じられました。

 
■スコットランドと日本の繋がり

 スコットランド人と日本人は特に江戸時代の頃より、とても重要な交流を行ってきているようです。でも、日本では「スコットランド人」ではなく、「イギリス人」と表記されるいことが多いためか、その交流はあまり意識されていないのかもしれません。司会の方から、こんな興味深いクイズが出されました。正解者にはスコッチウイスキー等が景品として贈られました。

IMG_0333.JPGQ:日本で最初に英語を教えたのは誰でしょう。スコットランド人です。

A:ラナルド・マクドナルド(Ronald MacDonald, 1824年2月3日 - 1894年8月5日)

Q:1885年エジンバラ大学で学び、フォース鉄道橋(Forth Rail Bridge)の建設にかかわった日本の技術者は誰?彼は2002年にスコットランド銀行から発行された20ポンド紙幣に印刷されています。

A:渡邊嘉一(1858年3月22日 - 1932年12月4日)
 

IMG_0529.JPGQ:日本の動力化に貢献したスコットランドの技術者、起業家の名前は。彼は長崎を拠点にしていました。

A:トーマス・ブレーク・グラバー(Thomas Blake Glover、1838年6月6日 - 1911年12月16日)

Q:1893年から横浜ゼネラルホスピタルで医師として長年働いた後、北海道二風谷で、アイヌ研究を行ったスコットランドの内科医の名前は?

A:ニール・ゴードン・マンロー(Neil Gordon Munro、1863年6月16日 - 1942年4月11日)

 
さて、あなたはいくつ分かりましたか?
 
 
 

 
■メインディッシュはハギス

IMG_0355.JPG ハギスはスコットランドの国民的郷土料理。すりつぶした羊の内臓(肝臓、心臓、肺など)と牛脂とみじん切りにした玉ねぎにオートミールを混ぜ込んだものを羊の胃袋に詰め込んで茹でたもの。バーンズ・サパーのメインディッシュです。

 バグパイプの演奏とともに入場しステージ中央のテーブルの上におかれ、バーンズの『ハギスのために(Address To A Haggis.)』の朗読とともに、ハギスが切られます。ナイフを入れたのはチャールズ先生です。
 
 
ハギスのために(Address To A Haggis)

スコッツ語:
Fair fa' your honest, sonsie face,
Great chieftain o' the puddin-race!

英語訳:
(Fair full your honest, jolly face,
Great chieftain of the sausage race!)

IMG_0383.JPG日本語訳:
正直なおまえの笑顔に幸いあれ!
腸詰一族の偉大な王よ、

(略)

スコッツ語:
His knife see rustic Labour dight,
An' cut ye up wi' ready slight,

英語訳:
(His knife see rustic Labour wipe,
And cut you up with ready slight,)

日本語訳:
見ろ! 田舎者労働者がナイフをぬぐい、
器用におまえを切り刻んでいく。

 
 
■古い友人との再会に乾杯

 スコットランドを称える沢山の歌、踊りを楽しんだ後、バーンズ・サパーの最後は『Auld Lang Syne (Old Long Past、遥かな遠い昔)』で閉められます。日本人の誰もが、恐らく一度は歌ったことがある『蛍の光』の原曲です。『蛍の光』は、一途に学問に励むことを褒め称える歌ですが、『Auld Lang Syne』でバーンズが歌ったのは、久方ぶりに再会した旧友と杯を酌み交わす様子です。

 参加者が一つの輪になり、隣同士手を繋いでバグパイクの演奏をバックに皆で大合唱をしました。


遥かな遠い昔 Auld Lang Syne (Old Long Past)

IMG_0734.JPGスコッツ語:
And for auld lang syne, my jo,
For auld lang syne,
We'll tak a cup o' kindness yet,
For auld lang syne,

英語訳:
(And for old long past, my joy (sweetheart),
For old long past,
We will take a cup of kindness yet,
For old long past,)

日本語訳:
君、長いつき合いだったね、
本当に長い年月だった。
変わらぬ間柄を祝って一杯いこう、
長く長くつき合ってきたのだから。
 

(略)

スコッツ語:
We twa hae run about the braes
And pu'd the gowans fine;
But we've wander'd mony a weary foot
Sin auld lang syne.

IMG_0810.JPG英語訳:
(We two have run about the hillsides
And pulled the wild daisies fine;
But we have wandered many a weary foot
Since old long past.)

日本語訳:
なあ、覚えているか、二人で丘を駆け巡り、
きれいなヒナギクをどっさり摘んだのはよかったけれど、
おかげでふらふらに疲れ切り、あちこちさまよい歩いたのを。
遠い遠い昔の出来事を。

(略)
 
スコッツ語:
And there's a hand, my trusty fiere!
And gie's a hand o' thine!
And we'll tak a right guid willy waught,
For auld lang syne.

IMG_0916.JPG英語訳:
(And there is a hand, my trusty friend!
And give me a hand of yours!
And we will take a right good-will drink,
For old long past.)

日本語訳:
さあ君、握手をしよう!
しっかりと握ってくれ!
そして、思いっ切り、ぐうっと飲もうよ、
われらの長いつきあいを記念して。

 
 

 旧友に対する思い、そして何より酒に対する思いを歌った歌は日本にも数限りなくあるような気がします。もしこのバーンズ・サパーで、「私たちスコットランド人がスコットランドの文化を紹介したのだから、次は日本人のあなたが何か日本を紹介することをやって欲しい」と言われたら、あなたならどうするでしょうか?これはチャールズ先生から次回のバーンズ・サパーに向けての宿題なのかもしれません。

 まずは、来年までに、友と酒を称えた島崎藤村の『酔歌』でも朗読できるようになっていようと思いました。
 

[了] 

 
(※)参考図書
ロバート・バーンズ詩集(ロバート・バーンズ研究会編訳)

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